“ひきつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
痙攣47.6%
引釣9.5%
牽付6.3%
引付4.0%
惹付4.0%
引連3.2%
引攣3.2%
引附3.2%
惹着2.4%
1.6%
引卒1.6%
引吊1.6%
引率1.6%
牽引1.6%
吸引0.8%
引継0.8%
紹介0.8%
引痙0.8%
引着0.8%
引詰0.8%
攣痙0.8%
気絶0.8%
牽着0.8%
牽附0.8%
0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
正吉の手頸を掴んだお美津の手がわなわなとおののいていた。然しその眸子は、急に大胆に輝き、あかくしめった唇は物言いたげに痙攣ひきつった。
お美津簪 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「いや、そうでない、そうでない!」と、小平太はさも苦しそうに顔面神経を引釣ひきつらせながら、ようよう口を切った。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
恥かしそうに私のお乳を飲まして欲しいなぞとわたくしに面と向って言うほど牽付ひきつけられるものを感じていながら、その反対の所作に堕ちてしまうなぞ
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
一頃は弘もよく引付ひきつけたりなどしたが、お婆さん始め皆の丹精たんせいでずんずん成長しとなって、めっきりと強壮じょうぶそうに成った。おまけに、末頼もしい賢さを見せている。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
二人とも相前後して惹付ひきつけられて行くようになったのは、寧ろ当然の帰結と云うべきであったろう。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
三世さんぜ一娑婆ひとしやば因果いんぐわ約束やくそくつながつたと、いづれも發起仕ほつきつかまつり、懺悔ざんげをいたし、五欲ごよくはなれて、たゞいまでは、それなる盲人めくらともろともに、三人さんにん一所いつしよに、つゑ引連ひきつれて、ひるおもてはづかしい
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
半面紅に染んだ顔は、恐ろしい苦痛に引攣ひきつって、カッと見開いた眼には次第に死の影が拡がるのです。
叔母さんが取殺せよ、取殺すよ、取殺せよと掛合にいうのだから恐ろしいじゃアありませんか、其の儘にお前さん花魁が引附ひきつけかゝる時にオギャアと産れたのは貴方のお胤で
お島は絶えて聞くことの出来なかった、東京弁の懐かしさに惹着ひきつけられて、つい話にときを移したりした。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
しかしお志保は其程のある花だ、其程人をひきつける女らしいところが有るのだ、と斯う一方から考へて見て、いよ/\其人を憐むといふ心地こゝろもちに成つたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
最後に残った二百人を杉右衛門自ら引卒ひきつれて放浪の旅へ登ったからである。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
英子嬢の美しい顔は引吊ひきつって、今にも泣き出しそうです。
判官三郎の正体 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
娘子軍じようしぐんの一隊を引率ひきつれて、散歩や映画を見廻ることが連日のことになつてきた。
狼園 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
優しい伯母かなんぞの様に心を牽引ひきつける。
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
しかし思想が剛健で、しかも観察の精緻せいちを兼ねて、人を吸引ひきつける力のさかんにあふれて居るといふことは、一度其著述を読んだものゝ誰しも感ずる特色なのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
新しい艶のある洋服を着て、襟飾えりかざりの好みもうるさくなく、すべてふさはしい風俗のうちに、人を吸引ひきつける敏捷すばしこいところがあつた。美しく撫付なでつけた髪の色の黒さ。頬の若々しさ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
これが古い日本の遊戯法を引継ひきつぎやすく、また忘れがたくした一つの力であって、御蔭おかげでいろいろの珍しいものの伝わっていることをわれわれ大供おおどもも感謝するのである。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
子どもが大きい人から引継ひきつがれた行事と、単なる彼らの遊戯との境目さかいめは目に立たない。ただ年月がって一方がもうその重要性を認めず、おいおいに起りを忘れてしまうだけである。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
左様そうじゃアねえか、おめえさん後生だ手紙を一本書いて粥河様へ紹介ひきつけてお呉んなせえ、西浦賀の江戸屋半治という女郎屋の弟だが
随分悪い事の方にゃアお役に立つ人間だから真堀の海禪さんに此方こなた紹介ひきつけてくれといって手紙を書いて貰ったから、是を読んで見ておくんなせえ
彼等、二郎青年と、巡査と、書生とは死骸から遠く離れた室の一隅いちぐうに立ちすくんだまま、真青に引痙ひきつったおたがいの顔を、まじまじと眺め合っていた。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
目鼻めはな手足てあしのやうなもののえるのが、おびたゞしくて、したゝかあだをなし、引着ひきついてなやませる。
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
先着の伴牛ともうしはしきりに友を呼んで鳴いている。わが引いている牛もそれに応じて一声高く鳴いた。自分は夢からめた心地ここちになって、覚えず手に持った鼻綱を引詰ひきつめた。
水害雑録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
見よ、お由の顏! 齒を喰縛つて、眼を堅く閉ぢて、ピリ/\と眼尻の筋肉が攣痙ひきつけてゐる。髮は亂れたまゝ、衣服きものはだかつたまゝ……。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「成程、成程、いずれその辺で、大慨気絶ひきつけてしまうのでござろう。」
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
父親も到頭職人らしい若い時分の気象を出して、娘の体を牽着ひきつけておく風の悪い田舎の奴等が無法だといって怒りだした。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
かくて、戦争が穀物の輸入を妨げる時には、その結果たるその高き価格は、農業への資本投下が与える大なる利潤のために、資本を土地に牽附ひきつける。
そして顏は今にも泣き出しさうに、痛ましくひきつつた。