“にせもの”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
贋物49.7%
偽物20.9%
偽者10.4%
僞物8.6%
贋者3.7%
僞者2.5%
似非物0.6%
似物0.6%
似者0.6%
似而非物0.6%
似而非者0.6%
偽器0.6%
贋造物0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
よしんばあの鼓が贋物にせものだとしても、安政二年に出来たものでなく、ずっと以前からあったんだと云う想像をするのは無理だろうか
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もう一人は下女のお辰。——良い年増ですよ。——この女は道具屋の娘で、親父の仁兵衛は偽物にせものの道具を扱ってお手当になり、母親はそれを
俗の中には、俗の眼でもわかる偽者にせものしかおらぬが、君子聖人のうちには、らっきょうのように幾皮もかぶっておるのが多いでなあ
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あのぢゞい、中々なか/\ずるやつですよ。華山くわざん僞物にせものつて押付おつつけやうとしやがるから、いましかつけつたんです」とした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
拜するに目とほゝの間に凶相きようさうあらはれ中々以て高貴かうき相貌さうばうにあらず拙者の勘考かんかうには御證據の品は實ならんが御當人ごたうにん贋者にせものなりと決したり依て天下の爲再吟味を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私の義務として恐らくは神の小羊こひつじ一匹ひとつであつたかも知れぬこの娘が、實は一人の墮落もの——眞の羊の群に屬する者ではなく、明らかに僞者にせものであり
考えてみると似非物にせもの真物ほんもののザックバランに優ることはない。そこでいっそのこと、辮子を廃し、洋服をて、大手を振って往来を歩いた。
頭髪の故事 (新字新仮名) / 魯迅(著)
母親は結局なんにも言わなかったが、よその人は一目見るとまずその辮子について研究し始め、それが似非物にせものであると知るや、すぐに冷笑を浴せかけ、わたしを断頭の罪名に当てた。
頭髪の故事 (新字新仮名) / 魯迅(著)
蒙むれば山内此末非人乞食こつじきと成果るも官位は身に備れば伊賀亮の亮の字も心得て用ひ候なり辯舌べんぜつ滔々たう/\と水の流る如くにのべければ流石の越前守も言葉なく暫時しばし控られしがやゝあつて山内に向かひ其方の身分委く聞ば尤もなり併し天一は似物にせものに相違なければ召捕べしといふに伊賀亮いがのすけかたち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
改め越前守殿何故に天一樣を似者にせものと云るゝやと尋ければ越前守されば似者に相違なきは此度將軍へ伺ひしにすこしおぼえなしとの御事なれば天一は似者に紛なしと云ふなりと山内是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
似而非物にせものでは断じてない。俺がいったんでは不似合だが、まず神々こうごうしい innocenceイノセンス だ。そういうことを許してもいい。十九……十九……まったくこれが十九という娘の仕業しわざだろうか。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
戸沢はその男の似而非者にせものに遇ったんだな。その男のことが先生の生れた釧路の方で評判になると、似而非者が五六人できて、北海道をあちこちと歩き廻るようになったんだ。……それに違いない。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
渡された神器は、偽器にせものであったというのである。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たった今見せられたおびただしい宝石も、私の眼を欺くに足るほどの、巧妙を極めた贋造物にせものではなかったかしらん。……なぞとも考えてみましたが、いくら考え直しても、今の宝石はそんな贋造物にせものではない。
死後の恋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)