“なまめ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
55.8%
34.7%
5.0%
婀娜1.5%
1.0%
0.5%
生目0.5%
艶冶0.5%
0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
派手な長襦袢ながじゅばんの上へ、大急ぎで羽織ったらしい小袖の紫が、冷たく美しい女中の差出す手燭の中に、またなくなまめかしく見えるのでした。
くれない括紐くくりひもたすきか何ぞ、間に合わせに、ト風入れに掲げたのが、横に流れて、縮緬ちりめんなまめかしく、おぼろさっと紅梅の友染をさばいたような。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今日はことして来にけるを、得堪えたへず心のとがむらん風情ふぜいにてたたずめる姿すがた限無かぎりななまめきて見ゆ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
引ツ張れば拔け出しさうなお女郎人形やまにんぎやうのやうに、優しく婀娜なまめかしかつた。
兵隊の宿 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
幽霊のやうに細く白き手を二つ重ねて枕のもとに投出なげいだし、浴衣ゆかたの胸少しあらはに成りて締めたる緋ぢりめんの帯あげの解けて帯より落かかるもなまめかしからでいたましのさまなり。
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
昔のうら若い女房が鉄漿かねを染めた口元にあの玉虫色の紅をつけてゐたとしたら、その青白い、血の気や赤味の微塵もない顔のなまめかしさは、どんなであつたらうかと思ふ。
青春物語:02 青春物語 (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
生目なまめとまりし苧垂むしたれすそうちはへて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
と、まるで、女のように、艶冶なまめかしく笑ったが
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
世になまめかしき文てふものを初めて我が思ふ人に送りし時は、心のみを頼みに安からぬ日を覺束なくも暮らせしが、籬に觸るゝ夕風のそよとのたよりだになし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)