三年さんねん
三年と云つても、この三年といふものは、三十年ぐらゐの気持であつた。荷作したまま荷が動かず、紹介してもらつた丸通の課長でさへ、『斎藤さん、もう手おくれですよ』などと云つたほどであつた。 渋谷駅に行つて見ると、いはゆる『疎開荷物』といふものが小 …