鼠取ねずみと)” の例文
「お勘殺しの下手人だ、——いや、それよりも、十次郎様に上げた菓子へ、岩見銀山の鼠取ねずみとり薬を仕込んだのは手前てめえだ」
よくよく聞いて見ると鼠取ねずみとりの薬を売りに来たのだそうです。鼠のいたずらもので人間のいたずらものではないというのでやっと安心したくらいのものである。
道楽と職業 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
石見銀山の鼠取ねずみとりを酒で呑んで、一緒に死ぬ気でいましたがいざとなって石見銀山が手に入らなかったので、本郷三丁目の生薬屋きぐすりやで、附子ぶしを買って来て酒に入れ
「家の中に、お嬢様の命を狙う者があるのでございます。一度はお嬢様の御飯の中に、石見銀山いわみぎんざん鼠取ねずみとりが入っていたのを、重三さんが見付けて大騒ぎをしたことがございます」
そっと後からいて行ってみると、石見銀山いわみぎんざん鼠取ねずみとり薬だったそうです、——どこでいつ使うか解らないから用心するがいい、狙われているのは鼠じゃなかろう——お町さんはそういってくれました