鶏頭とさか)” の例文
旧字:鷄頭
鶏頭が莫迦に光る、それかと言つてくわつと光つた外光の中に何かしら厭な陰気さが嘲笑あざわらつてでもゐるやうに、赤い鶏頭とさかが眼にみる、茎が戦ぐ、その根元から小さい蜥蜴が走り出す。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
訶和郎は石塊を抱き上げると、起き上ろうとする荒甲の頭を目蒐めがけて投げつけた。荒甲の田虫は眼球と一緒に飛び散った。そうして、芒の茎にたかると、濡れた鶏頭とさかのようにひらひらとゆらめいた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)