韜晦たうくわい)” の例文
古來凡庸の人と評し來りしは必ず誤なるべく北條氏を憚りて韜晦たうくわいせし人かさらずば大器晩成の人なりしかと覺え候。
歌よみに与ふる書 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
もし今よりして当時の平民の心裡の実情を描けば、あはれ彼等は蠖蟄くわくちつの苦を甘んずるにあらざれば、放縦豪蕩にして以て一生を韜晦たうくわいし去るよりほかはなかりしなり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
封建制度の下にゐた藝術家は、偉大な質ほど、たいがいかういふ韜晦たうくわいの蓑をかぶつてゐた。その點で田能村竹田たのむらちくでんとは、思想も氣ごころもぴつたりしてゐたにちがひない。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
韜晦たうくわいするといふことと同じか?
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)