雇傭こよう)” の例文
雇傭こよう関係は自発的にも法的にも次第に合理化されつつあり、末梢的まっしょうてきには割り切れないものが残っていながら、幾分光りが差して来た。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
況や製陶上の概念知識さえも有しないズブの素人に雇傭こようさるる工人、一美校生などの日給から仁清は生まれ出づるわけのものではないのである。
たとえ、主義のためであるとしても、十九や二十の息子を、親の手から振り放って、他人の雇傭こようむちの下で稼ぐ姿を、よくも、黙って見ていられるものである。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
だが私たちの託している政府雇傭こようの人たちでは託されている権限や法規や政党事情やらで、こんなのろまな動きしかできないのらしい。これは私たち政府のあるじも怠慢だった。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)