雁屋かりや)” の例文
「上は人の家です」と云うのが聞えた、「日本橋の雁屋かりや信助という、海産物商の控え家で、登りきったところが裏木戸になっている筈です」
もっとも彼には勤めがあるし、宇乃は日本橋の雁屋かりやに泊っていて、昼のうちしか会いに来られないから、ゆっくり話すだけの時間もなかったのであるが。
甲斐は、「雁屋かりやへ使いをやれ」いそぐぞと云って、用件を告げ、惣左衛門が去ると、立ちあがって寝間から出た。
「灯を入れる頃に起きる」と甲斐はおくみに云った、「雁屋かりやと、いつもの芸人たちをよんでおいてくれ」
甲斐はひそかに人をって、日本橋の雁屋かりや信助を訪ねろ、と舎人に伝えたが、舎人の無罪が明白と思われるのに、これを罰することを、自分が主張しなければならなかった
加費藩の留守役で奥村藤兵衛という人に、おくみの兄の雁屋かりや信助から糸を付けた、知ってのとおり、信助は唐船からふねをやっているので、加賀藩の抜荷船ぬけにぶねとかかわりがある、それを
「船岡で作ってこちらへ送って来るのを、わたくしの実家の雁屋かりやで売るんですの」
甲斐は、風呂をもらおうと云い、すぐに、雁屋かりやを呼んでくれ、と云った。