隧道すゐだう)” の例文
時ありて出窓でまどの下を過ぐるときは、隧道すゐだうの中を行くが如し。だ黒烟の戸窓とまどより溢れて、壁に沿ひて上るを見るのみ。
その先きは低い隧道すゐだうになつたので、己は腰をかゞめて進んだ。折々岩角が肩に触れる。暫く歩くうちに屈めた腰が疲を覚えて来た。己は推測した。多分此道はわざと難渋にしてあるのだらう。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
「カタコンバ」は人も知りたる如く、羅馬城とこれに接したる村々とを通ずる隧道すゐだうなりしが、なかばはおのづから壞れ、半は盜人、ぬけうりする人なんどの隱家となるを厭ひて、石もて塞がれたるなり。