長谷川時雨女史はせがわしぐれじょしの実験談であるが、女史が佃島つくだじまにいたころ令妹れいまいの春子さんが腸チブスにかかって離屋はなれの二階に寝ていたので、その枕頭まくらもとにつきっきりで看護していた。
疫病神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)