何方どっちが西か東か一向見分けも付かぬくらいで、そこらに船でもあれば、船は微塵みじんと砕けるは必定ひつじょうに三人の命は風前の燈火ともしびの如くであります。流石さすが鉄腸強胆てっちょうごうたんな文治も、思わず声を挙げまして
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)