赭顔あからがほ)” の例文
旧字:赭顏
あれを赭顔あからがほにすると、先生そつくりであつたのだ。先年わたくしはいはほの名義を以て、長谷寺に於て先生の法要を営んだことがある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
主人も客も湯帷子ゆかたに着更へて、縁側近く据わつて、主人と背の高い赭顔あからがほとがを打つのを、小男の客が見てゐる。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
くつろげたえりの間に挟んであるハンケチを出して、額の汗をきながら、あはゝゝと大声に笑つてゐる。赭顔あからがほは大きな体をゆつたり構へて、にこにこしてゐる。今度は小男が赭顔の相手に出て来た。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
跡から行く二人は皆赤い襟章で、一人は赭顔あからがほの図抜けて背の高い男、一人は締まつた体で、苦味走つた顔をした男である。二人共先に行つた男と同じ位な階級の人らしい。どれも八の顔を見て通つた。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)