赤手せきしゅ)” の例文
見ればまさしくドノバンが地上に倒れ、赤手せきしゅをふるって格闘かくとうしている。左のほうの木陰に寄ってイルコックが、銃をかまえてねらいをつけている。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
死を知るやすからず、彼既に身を献ぐ、彼は天下において一の恐るべきものを見ざるなり。彼は天下を相手として、赤手せきしゅふるうて大挑戦を試みたり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
しかし、今一方に数理と器械を持たない赤手せきしゅのルクレチウスを立たせ、これと並べて他方に数学書と器械を山ほど積み上げた戸棚とだなを並立させてよくよくながめて見るのもおもしろい。
ルクレチウスと科学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)