誘拐かどはかし)” の例文
「あの誘拐かどはかしなら、俺の方ぢやもう檢擧あげるばかりになつて居るんだ。滿更知らねえ顏でもない兄哥に恥をかせるでもないと思つてね」
平次は一應これを、金が目的の誘拐かどはかしと見たのも無理のないことでした。上總屋はそれほど、この界隈では裕福の聞えが高かつたのです。
「如何なる物——とは讀んで字の如く物だ。其邊のたるでもかめでも古下駄でも持つて行くがいゝ。人間を連れて行くのは誘拐かどはかしも同樣ではないか、痴呆奴たはけめ
えツ、默らないか、武士に向つて誘拐かどはかしとは何だ。——借金の抵當かたに、今晩は拙者が直々に伴れ歸り、内祝言ないしうげんを濟ませて、宿の妻にするのに何の不思議だ。
「——神田の平次が來て、下手人の目星が付いたさうだから、明日は伊太郎照吉殺しも、お夏と清次郎の誘拐かどはかし野郎も縛られるに違ひないと斯う言ふんだ」
「と言ふと、誘拐かどはかしは繼母のお瀧ではないといふやうに聞えるが、たしかにさういつた見込みでもあるのか」
あの惡戯者や誘拐かどはかしの惡者は、俺がキツと探し出して、おめえの手柄にさしてやる
すると、——亡くなつた馬道の荒物屋夫婦が、十六年前にお蝶を誘拐かどはかしたといふ證據があり、それを又荒物屋夫婦から金で買つた私も、誘拐かどはかしの同罪は免れない、——と斯ういふ言ひがかりです
「いゝてえことよ、誰も八五郎を誘拐かどはかしの曲者だと言ふ氣遣けえはねえ」
六百五十兩の代りに貰つて行くのが、誘拐かどはかし同樣とは何といふ言草だ
「八、また誘拐かどはかしらしいぜ」