西北風ミストラル)” の例文
モンテ・カルロ第一という巴里旅館オテル・ド・パリの豪奢な居間にこもりっ切りになって、四五日前から、沈鬱な顔をして額を押えながら、「西北風ミストラルが来る! 西北風ミストラルが来る!」
コン吉とタヌは、公爵がまた西北風ミストラルに乗って大勝して来るのだろうと、大いに期待していると、二時間程ののち、オテルの室付給仕パレエが、息せき切って二人の部屋に駆け込んで来た。
果してその日の正午ひるごろから、ものすごい勢いで西北風ミストラルが吹き出した。
漫々たる海面うなづらは青色から濃い灰色に変り、はるかなるフレエジュの山の上に薄黒い雲が徂来するのは、多分今夜、西北風ミストラルでもってこのリヴィエラ一帯を吹き荒らそうとする風神ゼフィロスの前芸なのであろう。