行者ぎようじや)” の例文
そのうちに大野屋の惣領息子そうりようむすこ、すなはち要次郎の兄がある人から下谷したやに偉い行者ぎようじやがあるといふことを聞いて来たが、要次郎はそれを信じなかつた。
行者ぎようじやきつねつかひなどとののしつてゐながらも、今やその影を実地に見せられて、かれはにわかに云ひ知れない恐怖に襲はれた。子供等がお化けだと叫んだのも嘘ではなかつた。
あくる日は弥助ひとりで再び下谷の行者ぎようじやをたづねると、老いたる行者は又かんがへてゐた。