“蠋(いもむし)” の例文
蠋(いもむし)のやうな惡黨だつたよ。生きてゐたら四十五六かな、まだ大した年ぢやない筈だが、手紙の書きつ振りは巫山戯(ふざけ)てゐるくせに愚痴(ぐち)つぽいところがある。
山の間で、鹿の脂肪層に蠋(いもむし)のやうな寄生虫がわきはじめると、国境にも春が来たのだ。河原の楊はいつせいに煙り、鵲は朝から、遅まきながら長い尾を振る。
測量船拾遺 (新字旧仮名) / 三好達治(著)
手前勘なればこそ、杓子定規なればこそ理想を厭(いと)へ。蠋(いもむし)を昆蟲なりといひ、拙(つたな)き小説家を固有派なりといふときは、其際におのづから褒貶存ず。是れ演繹的批評ならざらむやは。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
蠋(いもむし)のような悪党だったよ。生きていたら四十五六かな、まだ大した年じゃないはずだが、手紙の書きっ振りは巫山戯(ふざけ)ているくせに愚痴(ぐち)っぽいところがある。