蝮屋まむしや)” の例文
珍しくもない蝮屋まむしやの講釈や救世軍の説教などを物珍しそうに聞いたり、標札屋が標札を書いているのを感心しながらいつまでもぼんやり眺めていたり
早稲田神楽坂 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
「いくら美人でも珍らしくつても、蝮屋まむしやだと思ふと、美人だけに猶気味がわるいぢやありませんか。」
来訪者 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
変な蝮屋まむしやのあるような小さな露地を入った九尺二間の長屋のずっと続いている暗い家で、近所界隈かいわいはそういうものばかりのようであった。其処で祖母が父を教育してそだてたのである。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)