蚊帳越かやご)” の例文
僕は帰りにほこりだらけの茶の間を爪先つまさきで通り抜けて玄関へ出た。その時ついでに二人の寝ている座敷を蚊帳越かやごしにのぞいて見たら、目敏めざとい母も昨日きのうの汽車の疲が出たせいか、まだ静かなねむりむさぼっていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)