虞美人ぐびじん)” の例文
この辺は、かん高祖こうその大軍をやぶった古戦場である。またかの有名な項羽こうう虞美人ぐびじんが最期の悲涙を濡らして相ようした烏江うこう夜陣やじんのあとも近い。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
項羽は能く虞美人ぐびじんに別るゝことを得たれども、吾人は此の悲しき「運命」と一刻も相別るゝを得ざるものなり。
人生に相渉るとは何の謂ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
唯この俗伝を生じたのも或は虞美人ぐびじんの血の化して虞美人草となつた話に根ざしてゐるかと思ふだけである。
鴉片 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
義仲が戦場に愛人をつれていたのは、かの項羽こううが陣中に虞美人ぐびじんを擁していたことと、どこか似ている。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)