藩主はんしゅ)” の例文
追従ついしょうするような笑いに、一種の皮肉なものが感じられた。それから約半年、おれは「すばらしい花」という言葉をそのまま信じ、藩主はんしゅ参覲さんきんの供で江戸へいった。
(新字新仮名) / 山本周五郎(著)
藩主はんしゅの名も初めの方に書いてあったのだろうが、あとは略して禄高ろくたか丈けになっている。二百石の微禄じゃ、姓名が分ったところで、何藩の臣下だか容易に調べはつくまいね。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
藩主はんしゅ加賀守綱紀かがのかみつなのりが在国ちゅうで、ずっと御用が多いため下城はいつもおくれがちであった。
日本婦道記:梅咲きぬ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)