聖母マリア)” の例文
「いゝえもう結構。ですけど、お母さまがあなたの仰しやつた聖母マリアさまの所へいらしてからは、誰方と一緒にゐらつしましたの?」
わしたちはめいめいお彌撒ミサを三度ずつあげてもらおうじゃねえか。そして、御復活節になったら、一緒に*7ヴェルルの聖母マリア樣の所へ巡禮しようね。
何故なら、そうして幻のように現われる聖母マリア磔刑の仮像は、第一、女性として最も悲惨な帰結を意味しています。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
六畳敷きほどの広さの小ぢんまりとした部屋は床の間の基督キリスト受難の掛軸や、壁間の聖母マリアの画像や違棚の金縁背皮の厚い聖書らしい書物など、宣教師らしい好みで飾られていた。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
でも母さまは聖母マリアさまの處へ行つておしまひになつたの。母さまは、いつも踊つたり、歌つたり、詩をそらで云つたりすることを教へて下さいましたのよ。
御承知のとおり、右手のものは『処女受胎の図』で、聖母マリアが左端に立ち、左手の『カルバリ山の朝』は、右端に耶蘇イエスを釘付けにした十字架が立っているのです。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
つまりその結果、前方にある聖母マリアが十字架と重なるので、ちょうど聖母マリア磔刑はりつけになったような仮像が起る訳でしょう。云うまでもなく、その置き換えた人物と云うのは、婦人なのです。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)