縫箔ぬひはく)” の例文
集まつたのは近所の衆と、昔染吉の先代が使つた縫箔ぬひはくの職人だけ。耳の遠い婆さんと染吉とたつた二人の世帶は、主人が死ぬと火の消えた淋しさです。
そのころ西隣へ縫箔ぬひはくを内職にする家がこしてきてそこの息子の富公といふのがあらたに同級になつた。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
三譽妙清樣小石川御屋形江御上おんやかたへおんあがり之節縫箔ぬひはくの振袖、其頃の小唄にたんだ振れ/\六尺袖をと唄ひし物是也これなり、享保十一年丙辰へいしん六月七日死、生年不詳、家説を以て考ふれば寛文年間なるべし
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)