きずな)” の例文
その間とても、乳を吸い止まぬつよいきずな、膝にしがみついている小さい手の紲。この輦を六波羅へ引いてゆくのも老母の紲であった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして挑まれて初めは面白半分ふざけ半分にこれと身体を交えたとなったが最後……ただの一度でも身体を交えたが最後、もはや人獣のこの浅ましいきずなから逃れ去ることはできなくなってくるのです。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
神が結んだきずなは解かぬがよい。
伝吉が前へ置いた、来国俊らいくにとしの一刀を押しいただいて、早くも、情愛のきずなを思いって、果知れぬ旅出の支度にかかる。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)