延享えんきょう四年八月十五日の朝、五つ時過ぎに、修理しゅりは、殿中で、何の恩怨おんえんもない。肥後国熊本の城主、細川越中守宗教ほそかわえっちゅうのかみむねのり殺害せつがいした。その顛末てんまつは、こうである。
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)