私は直ちに氷嚢をこしらえて冷やしてやり、例の内科の友人に来てもらいました。私が友人から病名をきいた時の心持は、今から思ってもぞっとします。即ち友人は、立派な粟粒結核ぞくりゅうけっかくだと申しました。
人工心臓 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「いいえこのあいだから寝ておりますの、はじめは風邪だと思っていたのですけれど、お医者さまはチフスの疑いがあるとおっしゃったり、今日はまたなんですか、粟粒結核ぞくりゅうけっかくではないかなんて……」
四年間 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)