粟田あはた)” の例文
鴨河にはまだ幾條も日本風の橋が殘つてゐた。粟田あはた御所の塀外に蛟龍の如く根を張つてゐる彼の驚くべき樟の大木は十年前に見た時と變りがなかつた。
十年振:一名京都紀行 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
四郎左衛門は土屋信雄と変名して、京都粟田あはた白川橋南に入る堤町の三宅典膳と云ふものゝ家に潜伏してゐた。そして時々七人の同志と会合して、所謂斬奸ざんかん手筈てはずを相談した。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)