空矢あだや)” の例文
私がいくらあなたに利益を与えようと焦慮あせっても、私の射る矢はことごとく空矢あだやになってしまうだけです。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とたんにドッとときの声が林の奥から湧き起こり、朝陽の輝く社殿を目がけ雨のように矢が飛んで来た。それが一本として空矢あだやはなく、生死は知らず二十人の土人バタバタと地上へころがった。
位置はよし、手練は無双、ただ一本の空矢あだやもなく、二十三人を射て取った。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)