空々からから)” の例文
従って、その収入は、三千石や四千石の禄米とは、比較にならないほど多かったが、四人兄弟の代になって、競争で、財産を減らしてしまった。いや、空々からからに、乾かしてしまったのだ。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家禄城地を召しあげられた当座の動顛どうてんのうちに、とぼしい藩庫は空々からからになっていた。特別の憐愍れんびんによって個人の所有に残された家財道具も、かねめのものはこのたびの旅費に消えていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)