磨粉場こなひきば)” の例文
補祭の家まではかなりな道のりでもあり、そのまた道が裏道で、磨粉場こなひきばや、墓地の傍をとほつて谷を一つ迂𢌞しなければならないと来てゐる。
ただ恙なくまちを出はずれたかどうか、それだけが気になって絶えず後ろばかり振り返っていたが、やがて市はもう疾っくに姿を消して、鍛冶場だの、磨粉場こなひきばだの
あの磨粉場こなひきばのそばを通る時に、その間の抜けた眼を何処にくつつけてゐたんだね? ほんとにこの人つたら、現在目の前で、その嗅煙草だらけの汚ならしい鼻の先でさ
一切万事が生き生きとして進行し、判で押したようにきちんきちんと片づいて行った。磨粉場こなひきば晒布場さらしばが活動すれば、羅紗織場や指物さしもの工場や紡績場いとひきばがどしどし働いていた。
幾列にもならんだ磨粉場こなひきばの水車が幅の広い河波を掬ひあげては、それを飛沫に砕き、水煙をあげて、苦もなく跳ね飛ばしながら、あたりを聾するばかりの騒音を立ててゐた。
彼の心臓はまるで磨粉場こなひきばの臼のやうに激しくうち、汗が玉をなして流れた。疲れはてて、今にも地面へぶつ倒れさうになつた時、ふと彼の耳に、誰か後ろから追つてくるらしい跫音が聞えた……。