私は彼らがいかに予期にちた心をもって、のろのろ砲兵工厰ほうへいこうしょうの前から御茶の水を通り越して柳橋までがれつつ行っただろうと想像する。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は今日ここへ参りがけに砲兵工厰ほうへいこうしょうの高い煙突から黒煙がむやみにむくむく立ちのぼるのを見て一種の感を得ました。考えると煤煙ばいえんなどは俗なものであります。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)