痩世帯やせじょたい)” の例文
その頃痩世帯やせじょたいを張っていた養父は、それまで義理の母親に育てられて、不仕合せがちであったおとらと一緒になってから、二人で心を合せて一生懸命に稼いだ。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
もし沙金と別れまいと思えば、おばばといっしょになるばかりじゃ。よし、ならば、おばばをにしよう——こう思い切って、持ったのが、この猪熊いのくま痩世帯やせじょたいじゃ。………
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
誰でも痩世帯やせじょたいの中に育った者は、全く、困り切ってしまうことはあるまい。わたしは思う。この道筋に在る者は大概他人ひと真面目じがねを見出すことが出来る。わたしはN地に行ってK学校に入るつもりだ。
「吶喊」原序 (新字新仮名) / 魯迅(著)