田之助たゆう)” の例文
台の上には、他の物と一しょに、丸にいの字の田之助たゆう珊瑚が五つ六つ飾ってある。大きさも意匠いしょうもみな同じようで、帯留の前飾りにできたものだった。
玳瑁たいまいの地に金蒔絵きんまきえで丸にいの字の田之助たゆうの紋が打ってあるという豪勢な物、これが、その日暮しのお菊の髪に差さっていたのがこの際不審の種であった。
細長い平たい面へ九にいの字の紀国屋たのすけの紋を彫った若意気向き、田之助たゆう全盛の時流に投じた、なにしろ金二十五両という亀安自慢の売出物だったとのこと。
「伝二郎さんてましてね、田之助たゆうりの、女の子にちやほやされる——。」