用心水ようじんみず)” の例文
両側に軒の並んだ町ながら、この小北の向側むこうがわだけ、一軒づもりポカリと抜けた、一町内の用心水ようじんみず水溜みずたまりで、石畳みは強勢ごうせいでも、緑晶色ろくしょういろ大溝おおみぞになっている。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しんとした暮方、……空地の水溜みずたまりを町の用心水ようじんみずにしてある掃溜はきだめ芥棄場ごみすてばに、枯れた柳の夕霜に、赤い鼻を、薄ぼんやりと、提灯ちょうちんのごとくぶら下げて立っていたのは、屋根から落ちたか、杢若もくわかどの。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)