生憎あいに)” の例文
田中が郵便局へ息を切らしてついた時には生憎あいにく、町の労働者風の男が、電報取扱口へ、十枚ばかりの頼信紙を出しているところであった。
頭と足 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
生憎あいにくその木は小さかつたので、まるで暴風あらしに吹かれてゞもゐるやうに、ゆら/\、ざわ/\と動いて、キクッタは今にも落ちさうでした。
熊捕り競争 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
ここまで読んで来ると生憎あいにく、先に立ったお爺さんは、この時不図ふと袋が軽くなったのに気が付いて、変だと思いながらふり返って見ると、自分の背中の袋から落ちた銀杏の葉が
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)