甘味おい)” の例文
鹿児島が恋しいとはお思いになりませんか。霧島山が、桜島が、城山が、熱いお茶にカルカンの甘味おいしい頃ですね。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
我々のは恥かしくて何貫目ありますなどと人様には云えませんよ、たいてい贅沢もし甘味おいしいものも食べてみるんだが、たちでしょう、一向効果がありません。
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
『若し此のほんの少しの違ひに気をつけなかつたら、生命を取られるやうな事になつて了ふ。本物の紅茸は甘味おいしいものだが、もう一つの、にせ物の紅茸は大毒だ。』
わたしが作つたものだもの、そんなに甘味おいしければ毎晩でもお食べよ。」
月夜 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
どこを貧乏風が吹くかと、部屋の中は甘味おいしそうな肉の煮える匂いでいっぱいだ。だけど、上ったり降りたりで、私はいっぺんにへこたれてしまった。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
蟻共は家の中にゐて、其の木虱の管から甘味おいしい乳を腹一ぱいに飲む事が出来るのだ。