爰元こゝもと)” の例文
「十五日。雪。文礼子ぶんれいし御用にて新城宿より爰元こゝもと通行。」一戸の記に拠れば、武揚等の兵がたてさいを陥れた日である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
扨当春阿部正貫出京之節は、御懇切御文通被下、殊に無存掛ぞんじかけなく御肴料二方金はうきん御恵贈被遣つかはされ、辱拝受、乍去御過厚之事奉恐入候。先以御近況過日阿部より承候。爰元こゝもと之光景は此節同人より御承知と奉存候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「八月朔日、殿様御不快中拝診被仰付候に付、爰元御門並丸山表御門刻限過出入共定御移被下候様、岡西玄亭を以及御達候処、勝手次第と被仰聞候。」爰元こゝもとは西丸下の老中屋敷、丸山は中屋敷である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)