焦躁せうさう)” の例文
蜘蛛の巣さへなければ、この男を助けて置くのでは無かつたと言つた不思議な焦躁せうさうが、新吉の胸をさいなみ始めた樣子です。
平次とガラツ八は、不安と焦躁せうさうに眼ばかり光らせてゐる雇人の中をお勝手から納戸へ、奧の方へと通ふ廊下をみちびかれます。
鈴川主水の額には激しい癇癖かんべきが走ります。恐怖とも、焦躁せうさうとも言へる、五體の震へは去つて、潮のやうな興奮に、蒼い顏がサツと紅くなるのです。
今度は文字も亂れ、口調も荒々しく、少なからずあせつて居る樣子で、早く、早くと重ねたあたり全く居ても起つてゐられない焦躁せうさうに驅られて居る樣子です。
下女のお崎を追ひ出されて、本人のお幾が、自分の床へ戻つてからざつと一と刻、不安と焦躁せうさうのうちにも、若さと健康に負けて、お幾がウトウトとした時のことでした。
亭主と女房はひどい興奮と焦躁せうさうにかり立てられて、かはる/″\斯う語るのでした。
平次の顏に現はれた焦躁せうさうの色を見ると、守隨彦太郎益々落着いて
うして焦躁せうさうの幾日か過ぎました。