無可むか)” の例文
無可むか先生を見ているのが、今の近所の衆の眼で、時折、夜にまぎれて裏の竹藪だの、露地の口だのを、ひそかにうかがっているのが
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無可むか先生は、そのためか、いつもそっちの折角明るい軒へ、一れんをかけているので、いとど狭い室内は、よけいに薄暗い。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ついそこの、眼の前の露地口に、看板の板が打ってございました。——童蒙どうもう道場、てならいしなん、無可むかと」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しばらくの佗び住居に「無可むか」という号を用いて浪居している一齣があるが、その号は、実は、この「鉋屑集」から思いついて借用したものであることも、ここで告白しておく。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)