火除ひよけ)” の例文
浅草二天門のお火除ひよけ地に立って、苦々しげにこう呟いた虚無僧は、昨日中仙道からこの江戸表へ入った春日重蔵と千浪とであった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
話は途みちするといったくせに、何一つ口火を切らないうちに、二人は柳原の火除ひよけ御用地へ出てしまった。すると、思い出したように立ちどまった文次
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
くすんだ青銅で三人の美の女神をかたどり、しゃれた真珠貝の火除ひよけをつけた、非常に優美な燭台がテーブルの上へ出されたが、それと並べて、脚がびっこで、一方へ傾き