よるまた円月堂の月見橋のほとりに至れば、東京の火災いよいよ猛に、一望大いなる熔鉱炉ようくわうろを見るが如し。田端たばた日暮里につぽり渡辺町等わたなべちやうとうの人人、路上に椅子いすを据ゑ畳を敷き、屋外をくぐわいに眠らとするもの少からず。