渋紙色しぶがみいろ)” の例文
とこには一度も掛替えたことのないらしい摩利支天まりしてんか何かの掛物がかけてあって、渋紙色しぶがみいろに古びた安箪笥やすだんすの上には小さな仏壇が据えられ
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
中からは渋紙色しぶがみいろに変色した人間の片腕が出て来た。肱のところから見事に切断され、切口に黒い血がかたまっていた。たまらない臭気が鼻を打った。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
皮膚の色は、君は恐らく渋紙色しぶがみいろを想像するであろうが、案外そうではなくて、若し皺を引き伸ばしたら、僕なんかの顔色よりも白くて美しいのではないかと思われる程であった。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)