浸透しんとう)” の例文
「どうも今日の爆撃は変だね。いやに地底ふかく浸透しんとうするじゃないか。おい君、対空本部へ電話をかけて事情を聞いてみよ」
この新しい歌劇が西国から興って京に流行し東海方面にまで波及してきたのは、これは形をかえた一つの秀吉攻勢の浸透しんとうとも見ないわけにゆかない——とも家康は考えていた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
江戸の遊女崇拜の思想が、斯うまで根強く浸透しんとうして居たのです。
「正成はいぜん健在です。それになぜか楠木の名は鬼神か天魔のように人々の間に浸透しんとうしてしまったので、現地にある何万の将士も、幕府のあたまも、まるでそれ一つに取りかれたような躍起やっきとなっておりまする」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)