洗張あらいはり)” の例文
それ着物の浸抜しみぬき、それ洗張あらいはりと、騒ぎにばかり日を暮し、未だ父上の道中着物ほどきもせずに居るような仕末に御座候。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その頃でしたか、古いはかまを持って来たことがありました。「洗張あらいはりでもするの」と聞きましたら、「これは主人のために探して来ました」といいます。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
「いいえ、これあたしの御古おふるよ。この冬着ようと思って、洗張あらいはりをしたまま仕立てずにしまっといたの」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ただどんなに時代を食っても、綺麗きれい洗張あらいはりが出来ている所に彼女の気性が見えるだけであった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)