五百いおは五月二十日に東京に着いた。そして矢川文一郎、くがの夫妻ならびに村田氏から帰った水木みきの三人とともに、本所横網町の鈴木方に行李こうりを卸した。弘前からの同行者は武田代次郎たけだだいじろうというものであった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)