正月むつき)” の例文
僧かと見れば僧でもなく俗かと見れば僧のようでもある。季節は早春の正月むつきだというのに手に渋団扇しぶうちわを持っている。脛から下は露出むきだしで足に穿いたのは冷飯草履ひやめしぞうり
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
空っ風の吹く正月むつきの朝、すこし心願があったので供も連れず起き抜けに観音様まで参詣すると、大きな公孫樹いちょうの樹の蔭で赤児がピーピー泣いている、この寒空に捨て子だな、邪見の親もあるものだと
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)