歇私的里ヒステリー)” の例文
歇私的里ヒステリーのお峯は悪魔を宿して、初七日を過ぎないうちに借金の催促となり、やがて一聯隊の執達吏が雪ぢかい寒村へおしよせるに違ひない。
村のひと騒ぎ (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
健三はこうした細君の態度をにくんだ。同時に彼女の歇私的里ヒステリーを恐れた。それからもしや自分の解釈が間違っていはしまいかという不安にも制せられた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
歇私的里ヒステリーの冬の発作のさみしさのうす雪となりふる雨となり
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
幸にして自然は緩和剤としての歇私的里ヒステリーを細君に与えた。発作は都合好く二人の関係が緊張した間際に起った。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
春はもや静こころなし歇私的里ヒステリーの人妻のかほのさみしきがほど
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その当時強烈であった彼女の歇私的里ヒステリーは、自然と軽くなった今でも、彼の胸になお暗い不安の影を投げてやまなかった。彼はまたその細君の里の事を考えた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一寸おきき、何処かで千鳥が鳴く、歇私的里ヒステリーたましひ
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
真赤な歇私的里ヒステリーの鶏頭
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)