檍原アハギハラ)” の例文
物語を書きつめ、或は元々原話が、錯倒してゐた為、すぐ後の檍原アハギハラミソぎの条に出るのを、平坂の黄泉道守ヨモツチモリの白言と並べたのかも知れぬ。
水の女 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
黄泉国の汚穢は、檍原アハギハラの潮流に、身躰を洗滌して、はじめて悉く、之を去るを得たり。大祓は国中の罪悪罪過を、悉く攘除して、遺る罪はあらじと、祓い清むる、重大なる儀式なり。
比較神話学 (新字新仮名) / 高木敏雄(著)
檍原アハギハラミソぎ」に、此二位の神が化生したと説くのは、禊ぎの呪言に、攻守二霊の作用の本縁を物語つてゐたものであらう。
物語を書きつめ、あるいはもともと原話が、錯倒していたため、すぐ後の檍原アハギハラミソぎのくだりに出るのを、平坂の黄泉道守ヨモツチモリの白言と並べたのかも知れぬ。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
国つ罪の起原・ミソぎの事始めを説明した呪言——いざなぎの命の黄泉よみ訪問から「檍原アハギハラの禊ぎ」までをこめた——も、単なる説明詞章に過ぎなくなつて了うた。
鎮火祭の祝詞は、よみの国のいざなみの命の伝授であつたらしく、いざなぎの命の檍原アハギハラの禊ぎも呪言から出た行事に相違ないが、此もよみの国を背景にしてゐる。
いざなぎの命檍原アハギハラで祓への為にすでる間に、神々は、すで水の霊力で生れたことになる。永い寿を言ふのもすで水の信仰からである。昔の国々島々の王者は皆命が長かつた。
若水の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
譬へば、「天窟戸籠り」に絡んだ詞章、「橘檍原アハギハラミソギ」を伝へた詞章、「天つ罪の起原」、「すさのをの尊神追放カムヤラヒ」に関した詞章、かう言ふ種類のものであつたらしく思はれるのである。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)