昼行燈ひるあんどん)” の例文
新字:昼行灯
と云うし、ひどいのは、昼行燈ひるあんどんなどとさえ云う者もある位なので、この場合も、九郎兵衛の意見に押されて
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつも穏和おとなしい栄坊ちやんが、「名主の家の昼行燈ひるあんどん」が、こんなに意気込んでゐるのは、珍しいので、みんなは奇妙に思つた。きつと何か素晴らしい物があるのだらう、と思つた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
あるの、あのなかにも。あいだは、昼行燈ひるあんどんでも、昼間の月でも、かまやせん。たとえば、この蓼にしても馬さえ喰わぬが、土壌どじょうの恩と、陽の恩には、ちゃんと報じておる。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だから、藩中の一部にも、時の悪政や幕府批判は、常に、ひそひそ語られていたが、昼行燈ひるあんどんは、いつも居眠っていた。田舎家老は、このくらいな燈芯とうしんが、ほどよいところ——と、している風に。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)